在庫で税金対策(1)
在庫で税金対策(1)
「在庫」とは、仕入れた商品や製造した製品などの中で、期末まで売れ残ったものです。在庫は、税務調査の対象に必ずなると言って良いでしょう。在庫は「内部管理項目」なので、経営者の利己的な考えが介入しやすく、課税当局は調査を徹底的に行います。
売上原価の算出は、「期首在庫+当期仕入高−期末在庫」で行いますが、算式からわかるように、当期の売上原価を期末在庫は構成していません。そのため、期末在庫の評価が、大きく利益に影響を及ぼすのです。
在庫の評価方法によって、税金対策の効果が違ってきます。在庫の評価方法は、税法上定められていますが、どの方法が節税に最も有利なのでしょう。それは、「低価法」でしょう。低価法とは、種類の異なるごとに区分して、同じ種類ものについて、取得原価と時価とを比べ、どちらか低価額のほうを期末評価額とする方法です。物価が下落傾向の際は、期末在庫評価額が小さくなるので、売上原価が大きくなり、利益を圧縮することが可能です。
「原価法」においては、物価が下落傾向のときには、税金対策には「最終仕入原価法」が有利でしょう。それは、在庫を最終仕入単価で評価するため、下落傾向のときは、売上原価を大きくでき、利益の圧縮が可能だからです。
会社は評価方法を選択できますが、「棚卸資産の評価方法の届出書」を税務署に提出して、選択した方法を報告しなければなりません。また、一度選択した方法は、利益操作の排除のため、正当な理由がない限り、継続適用となります。